「まちぶせ」が流れて来た。待ち伏せをされた記憶が甦って来た。彼方遠い出来事だが、鮮明に覚えている。待ち伏せをさせることになったのは、僕が原因だ。謝りたいきもちがたまにこみあげてくるが、彼女の今はわからないし、行ったことのある家も今はあるかは、わからない。中学の同級生だった彼女に卒業後、一度だけ手紙を出した。話があるから会いたい、みたいな手紙だったが、約束の日、恥ずかしくなってすっぽかした。次の日、彼女は僕の家の近くまで来て、学校から帰る僕を待っていた。びっくりして、大丈夫だから、みたいな言葉をかけて帰った。本当は話がたくさんあったが、僕は逃げ出した。謝らねばならない。「すみません」。本心を知らぬままに、2人は大人になった。「まちぶせ」だった。